第八十四話 空は学祭について話してみる②
「普通の学祭は、その学校の生徒が出店を出したりすると思うんだけど、この学校の学祭は少し違うんだ」
「なにそれ? まさか学祭なのに、出店を出しちゃいけないの?」
と、つまらなそうな胡桃。
空はそんな彼女へ言う。
「いや、ごめん。少し言い方が悪かったね。生徒が出店を出すのはいいんだけど、この学校の生徒は自分たちで出店を出さない方が多いんだよ」
「出すか出さないか、自分達で決められるってこと? 行事に強制参加じゃないのはいいことね! まぁ、あたしは学祭好きだから、出店を――」
「闘技大会が開かれるんだ」
「…………」
「生徒は出店を出すか、闘技大会に出場するか選べる」
「どっちも出るは無理なの?」
胡桃の質問は当然だ。
そして、それは別に禁止されていることではない。
だが。
「やってもいいんだけど、どっちも出てる人は少ないかな。理由は――」
「待って、さっき言った事は忘れて! 我ながら愚問だったわ!」
と、言ってくる胡桃。
彼女はきっと、言った直後に『どちらも出ること』とのデメリットに気が付いたに違いない。
「ここはヒーロー養成学校。他の人の戦い方を見た方が参考になるし、出店なんか出しても手伝っている暇がないってことね?」
と、胡桃はまさに正解といったことを言ってくる。
故に、空はそんな彼女に捕捉する。
「あとはまぁ、闘技大会はだいたい勝ち抜き戦だから、いつ自分の番が回って来るかわからないんだ。だから、出店を出しても全然集中できないっていうのがあるかな」
「ねぇ空、もう一つ質問があるから答えなさい!」
「ん、別にいいよ。こう見えても一応先輩だし、なんでも答えるよ」
「いい心掛けね! 感謝しなさい!」
なにに?
と、空は思わず突っ込みそうになるが我慢。
すると、胡桃は空へと言ってくるのだった。
「その闘技大会でいい成績を……いえ、そこで優勝したら序列に影響はするの?」




