第六百一話 空と竜のデメリット②
(こいつは無効化能力を失っている)
と、空がそんな事を考えたその時。
聞こえてくる何かが崩れる音。
骸骨竜が瓦礫を吹き飛ばし、その下から這いだしてきたのだ。
と、ここで空はとある違和感に気がつく。
(おかしい――さっきより、羽や腕の傷が減ってる……というより、小さくなってる?)
空の勘違いの可能性もある。
なんせ、空だって至近距離で見たわけでは――。
(っ――いや、勘違いなんかじゃない!)
こうして、今見ている間にも。
骸骨竜の身体の傷は、ものすごい速度で治癒していっている。
しかしなるほど、これである意味納得がいった。
驚異的な身体能力を手に入れるためとはいえ、無効化能力を捨てること。
それはデメリットが大きすぎると思ったのだ。
(驚異的な身体能力と、驚異的な回復能力……なるほど)
これはとんでもない組み合わせに違いない。
まず近寄れないほどの身体能力。
仮にダメージを与えたとしても、あっと言う間に治癒してしまう。
なるほど、どんなヒーローであってもこれが相手では、絶望してしまうに違いない。
しかし、それは普通のヒーローの場合だ。
(僕なら骸骨竜についていける)
問題はあの回復能力をどうにかする方法。
考えられる手段としては、やはり一つに違いない。
それすなわち――。
「回復の暇を与えないレベルで、攻撃を与え続ける」
まずはやってみるしかない。
もしそれが出来ないようならば。
(奥の手を使うしかない……か)




