第五百八十二話 空は最後の戦いに臨んでみる②
「僕が暴れれば、あいつの方から来るはずだ」
と、空は地面を蹴って、近くの怪人へ全力で接近。
怪人を間合いに捉えるやいなや――。
「まずは一体」
その怪人を、片手剣により両断する。
すると、周囲の怪人たちは一斉に、空の方を向いて来る。
その数は百を優に超えている。
すでに地下に侵入している怪人も含めれば、もっと居るに違いない。
今からこれら全てと戦うとなれば、空もある程度本気を出さざるをえない。
(そうなれば、戦闘は派手になる。ひょっとしたら、増援が来たりもするかもしれない)
だが、それでいい。
空の目的はただ一つ。
「あなた達のボスが来るまで、あなたたちを全員潰し続けさせてもらいます」
言って、空は再び地面を蹴りつける。
向かう先は、少し離れた位置に居る怪人たちのグループ。
その数は四体。
空はその中央に到達。
すぐさま――。
「剣技 《一閃》」
目の前の怪人を葬り去る。
すると、他三体の怪人が反応しようとするが。
「遅い……」
魔眼を発動させるまでもない。
と、空はそんなことを考えながら、余裕をもって攻撃行動に移る。
まず対処すべきは、空の背後から襲いかかって来る怪人。
それに対し、空は全力の後ろ回し蹴りをする。
まだ終わらない。
空は先ほど蹴った相手が吹っ飛ぶより早く、右手の片手剣を投げつける。
その目標は、空の右手側から迫ってきている怪人だ。
そして最後。
左手側から迫ってきている怪人。
奴には左手を翳し。
「魔法 《ファイア》!」
こうして、時間にすると一秒にもみたない一瞬。
空はほぼ同時に四体の怪人を打ち倒す。
しかし。
「残りは百体以上……まぁこのペースなら、そんなに消耗しないで倒せるかな」
と、空が肩を回したその直後。
空の方へと、大量の怪人たちが押し寄せてくるのだった。




