第五百七十五話 空は護衛をしながら、現状把握してみる②
「逃げ遅れた人が居るとの情報が入ったので、単独で助けに向かってしまいました……正直、失敗です。兄さんがこなければ、助けるべき人達どころか、自分の身も守れないところでした」
と、言ってくる時雨。
彼女はそのまま空へと続ける。
「で、でもアレですよ! いくら何でも、あんなに怪人が居るとは思わなかったんです! せめてあの半分……それくらいなら、わたしでもなんとか――」
「はいはい。まぁなんにせよ、時雨が無事でよかったよ。それに時雨が強いのはわかってる」
「兄さん……」
「でも、本当に気をつけてね――こういうときはせめて、三人以上で戻ってくれると嬉しいんだけど」
「……善処します」
時雨が空をお見通しな様に。
空もまた、時雨をお見通しだ。
故にわかる。
これは絶対に善処しないやつだ。
けれど、時雨の気持ちがわからないわけではない。
緊急事態となれば、きっと体が勝手に動いてしまうものなのだから。
と、空はここでふととある事が気になる。
故に空はそれを訪ねるため、時雨へと言うのだった。
「ところで、怪人が攻めてきているのはわかるんだけどさ。地上に出て、次に逃げ込む場所って考えてあるの?」




