第五百七十四話 空は護衛をしながら、現状把握してみる
「みんなを安心させてください……わたしの自慢のヒーロー」
と、そんな時雨の発言から十数分後。
空が人々を落ち着けてから十数分後。
現在。
空と時雨は、一般人を護衛しながら地上目指して歩いていた。
「兄さんが向こうの世界に行って、少しした頃です……怪人が攻めて来たのは」
と、言ってくるのは時雨だ。
彼女は空の隣に並びながら、言葉を続けてくる。
「大小様々な怪人が、この地下に攻め込んできています……つまり、ここはもはや安全どころか危険地帯」
「それで、プロヒーロー達は一般人をこの地下から逃がそうとしているわけね」
「はい……でも、兄さんが聞きたいことは、そこではないんですよね?」
さすが時雨。
空の考えていることなど、お見通しというわけだ。
であるならば、話は早い。
と、空は時雨へと言う。
「どうして時雨だけ、単独行動していたのかな? どうせ無茶したんでしょ? 時雨って冷静そうに見えて、案外――」
「う、うるさいですね……わかってますよ!」
と、ぷいっとしてくる時雨。
やがて彼女は落ち着いたのか、空へと言ってくるのだった。
「逃げ遅れた人が居るとの情報が入ったので、単独で助けに向かってしまいました……正直、失敗です。兄さんがこなければ、助けるべき人達どころか、自分の身も守れないところでした」




