第五百六十七話 空と狐と炎②
日本――現在、人間が隠れている地下。
空はその自室へと、異能を使ってゲートを繋げた。
直後、彼の目に映ったのは。
「っ!」
「クー! 炎だ危ない!」
と、空を庇うように前へでるシャーリィ。
しかし、炎が空とシャーリィを襲うことはない。
当然だ。
このゲートは、空の所有物以外は通さないのだから。
とはいえ。
(安心していられる状況じゃない! 嫌な予感の原因はこれだ……やっぱり、僕が居ない間に皆に何かあったんだ!)
この地下には多くのヒーローが居る。
となれば、下手な火災や事故ならばすぐに対処できる。
にもかかわらずこの状況。
起きた何か。
とは、十中八九――怪人に違いない。
すぐに日本へ戻る必要がある。
今度こそ、怪人の好きにはさせられないのだから。
「く、クー!? どうしてゲートの中に進もうとしてるんだ!? 危ない! シャーリィは知ってるんだ! これじゃあ焼けどしちゃう!」
と、空の手をきゅっと掴んで来るシャーリィ。
空はそんな彼女へと言う。
「大丈夫、ちゃんと考えがあるから」
「で、でもシャーリィは心配だ……そ、そうだ! シャーリィも一緒にクーの世界に行く! それなら、クーの傍でクーを見てられる!」
「気持ちは嬉しいんだけど、それはダメだ。もちろん、来てほしいのは山々なんだけど、シャーリィにはやって欲しい事がある」
「やって欲しいこと?」
と、首をかしげているシャーリィ。
空はそんな彼女へと言うのだった。
「リーシャに頼んでるやつを、今すぐ実行する様に伝えてもらいたい」




