第五百六十六話 空と狐と炎
(念の為に見ておくか)
と、空がゲートを開こうとした。
まさにその時。
「クー! 帰っちゃうのか? やっぱりお腹が痛いのか?」
と、言ってくるのはシャーリィだ。
空はそんな彼女へと言う。
「さっき言った通り、身体は問題なよ。ただ、ちょっと気になる事があるんだ。ゲートを開けばすぐに確認できることだから、それで問題なければ――」
「まだ一緒に遊べるんだな!? シャーリィはもっとクーと一緒に遊びたい!」
「うーん……僕としては買い物してるのであって、遊んでるわけではないんだけどね。実際、技能書とか道具とかを中心に見ているわけだし」
「関係ない! シャーリィはクーと居られれば、それで幸せなんだ! シャーリィはクーと一緒にいると、心がぽわぽわするんだ! とっても心地いいんだ!」
ぴょこぴょこ。
今日もシャーリィは元気だ。
そして、そんなシャーリィを見ていると、不思議と空も元気になってくる。
さてさて。
シャーリィから元気をわけてもらったところで、いよいよだ。
(これでただの勘違い、何もなかった……みたいな展開だといいんだけど)
と、空はそんな事を考えながら、目の前へ手を翳す。
そして、彼はそのままゲート開く。
「っ!?」
直後。
空の目に飛び込んできたのは、ゲートの向こう側――日本、地下にある自室。
そこに見える真っ赤な炎だった。




