第五百五十五話 時雨の作戦
「ヒーロー全員で物量戦を仕掛けた上で、高出力異能者による認識外からの同時攻撃……わたしは、これしかないと思っています」
響きだけ聞くと、かなりの力押し。
けれど。
「あの怪人には有効だと思われます」
時雨がそう考える理由。
それは簡単だ。
あの怪人は、明らかに狙った異能を無効化している。
それはつまり『見て』、『危険だと判断』――要は、『選択行為』をしている。
(裏を返せば、選択できないもの……認識していないものは、無効化できない可能性が高い)
範囲内の異能を、完全に無効化する能力などでないのならば。
高出力の異能による不意打ち……それは確実に通用する。
無効化できるはずがない。
(仮に不意打ちに気がついたとしても、こちらは同時攻撃……『選択行為』をする間に、若干のタイムラグは発生します)
時雨やヒーロー達は無理だとしても。
きっと空ならば――あの速度ならば、その隙を狙えるに違いない。
(まぁヒーローによる同時攻撃で、すんなり倒せればそれがベストですが)
と、時雨は考える。
その後、ヒーロー達を見回して言うのだった。
「わたしからは以上です……何か意見や質問はありますか?」




