第五百五十二話 時雨は意見をまとめてみる②
「……わかりました。他に意見のある方はいますか?」
と、時雨は周囲を見回す。
けれど、手を上げる者は誰もいない。
まぁ、この流れで手を上げる者もいないに違いない。
(なんにせよ、これでようやく本題が話せますね)
空に何かしらの作戦があるのは分かっている。
しかし、それに頼り切りになるわけにはいかない。
空はあくまで奥の手なのだから。
「では、今回の会議の主題――あの死神の怪人について話す前に、現状わかっていることを上げて行きます」
と、時雨はホワイトボードに文字を書き込んでいく。
それはこんな感じだ。
一つ。
死神怪人は、怪人たちの王である。
そして、上空に浮かんでいる宇宙船の主だと考えられる。
二つ。
効果範囲は不明だが、異能を無効化する能力を持っている。
しかし、複数人で同時にかかった際には、無効化漏れが発生する弱点がある。
三つ。
並大抵の攻撃では、あの怪人は全くダメージを受けない。
現状、ダメージを確認できたのは時雨と氷菓のみ。
(要点はこんな感じですかね)
時雨は自ら書いた文字を確認する。
その後、集まったヒーロー達へと言うのだった。
「では順番に話をしていきたいと思います」




