第五百四十九話 空は二連敗してみた②
「三度目の正直じゃないけど、そろそろ本格的に対策しなとやばいわよね……あれ」
と、言ってくるのは胡桃だ。
実際、彼女の言う通りだ。
前回の戦闘で、空がレベルなしでもあの怪人と戦闘可能なのは理解した。
しかし。
(攻撃をいくら避けられても、ダメージを与えられないんじゃ意味がない)
空に必要なのは、力だ。
レベルの概念……そして、勇者ブーストによる力。
それらさえあれば、あの怪人を倒すことが出来る。
(となると、やっぱり問題点はループしてくるんだよね)
どうやって、空の能力を無効化させないか。
その一点につきる。
あの怪人がバカならば、話は簡単だった。
例えば、機械的に近くの人間の異能を無効化する。
それほどバカならば、複数人でかかれば楽に倒せる。
死神の怪人による空へのマーク――能力無効が外れた瞬間。
そのタイミングで、攻撃を叩きこめば終わりだ。
(でも、二回戦ってわかったけど、あの怪人はバカじゃない)
おそらく何人でかかったとしても、奴は自分にとって危険な能力のみを封殺してくる。
すなわち――空はもちろん、時雨や氷菓も当てはまるに違いない。
(あの怪人に対して、ダメージを与えられそうなラインを超えた力。それを持つ人は、僕含めてさっき上げた三人。しかも、後者二人はレベルの力を持つ僕ほどの出力はない)
戦力が足りない。
勝ち筋を見出すには、死神の怪人のマークを分散させる必要がある。
それにはせめて、あと一人……あと一人、空と同等レベルの力をもった人が必要だ。
(異世界に誰かを連れて行って、レベルの概念を付与する? いや、それは無理だ)
それが出来ないのは、胡桃の例からわかり切っている。
であるならば。
「思いつく方法は一つ……か」




