第五百四十五話 空は死神と再戦してみる⑤
「剣技 《一閃》!」
完璧に再現されたその一撃。
それはまっすぐに、死神の怪人の首へと向かっていく。
(隙もタイミングも完璧についた! これなら絶対に入る!)
直後、空の攻撃は怪人へと直撃する。
だが――。
「っ!?」
空の手に伝わってきたのは、バットで鉄を殴ったかのような感覚。
見れば、死神の怪人は微動だにしていない。
その瞬間。
空は悟ってしまった。
(速さだけなら、経験で対応できる……だけど、足りない!)
攻撃力が圧倒的に。
けれど、止まっている場合ではない。
空はすぐさま襲ってくる怪人の攻撃を、全力で回避。
バックステップで再び距離を取る。
さて。
(ただの攻撃が効かないからといって、逃げるつもりはない……こいつは僕が、今ここで倒してみせる)
とはいえ、このまま戦っても時間の無駄なのは確実。
となれば、次から相手の弱点を探しつつの戦闘になる。
(この怪人は早い。今の僕じゃ、一撃与える間合いに入るのに大分時間がかかる……さっきだって、一撃与えるのに二百以上の攻撃を躱す必要があった)
弱点を見つけるまでに、空はいったい何回この怪人の攻撃を躱せばいいのか。
はたして、空の身体は耐えてくれるのか。
と、空が考えたその時。
「兄さん……判断を誤らないでください」
聞こえてくる時雨の声。
同時、大量の光の粒子が、怪人へと降り注ぐのだった。




