第五百四十三話 空は死神と再戦してみる③
「異能が使えなくても、レベルがなくなっても……あの世界で培った経験は、僕の中で生きてる!」
と、空は鉄パイプを構える。
とはいえ、見てから動いたのでは圧倒的に遅い。
(この怪人はかなり早かった……僕のレベルがなくなっているというのを、勘定にいれなくても、並みの怪人を遥かに越えていた)
であるならば。
今の空が、この怪人と渡り合う方法は一つしかない。
と、空がそこまで考えた瞬間。
怪人の鎌がピクリと動く。
同時――。
空は出せる全速力で、上半身を逸らす。
すると、空の鼻先をかすめる様に、何かが通過する感覚。
それは早すぎて、もはや目視不能となった怪人の鎌に違いない。
けれど。
(避け、られたっ!)
やはりレベルのない状態で、この怪人と戦う方法は一つだ。
今の一瞬の攻防。それにより、空は確信を得た。
と、空はそんな事を考えた後、バックステップで怪人から距離を取る。
(相手の僅かな動きから、相手の動きを完全に予測するんだ。そして、相手が動き出すより先に、こっちが動き始める……!)
予測を誤れば、即死確実。
これまでの戦闘から得た経験がものを言う戦術。
かなりリスキーだ。
だが。
「これなら戦える……!」




