第五百四十二話 空は死神と再戦してみる②
「勝つために、色々試してやるさ」
とはいえ、実際に試してみたいことはある。
それはこの怪人の特性から考えた、戦闘方法。
この怪人は異能を無効化する能力を持っている。
そして、あの不気味に輝く目。
二つは無関係なのか?
(もしも二つが関係あるとしたら、とるべき戦略は決まっている)
答えは簡単だ。
と、空は死神の瞳が輝くその前に、全力で地面を蹴りつける。
そして、その勢いを利用して、怪人の背後へと回り込む。
(この怪人の瞳に映らなければいい!)
空の推測が正しいのならば、これで異能が――レベルの力が使えるに違いない。
と、空はそんな事を考えた後。
「剣技 《一閃》!」
空は全力で剣を振り抜く。
けれど――。
「っ!?」
いつの間にやら、魔法で作り出した剣は消滅していた。
当然、死神の怪人は無傷だ。
それだけではない。
(また……体が重いっ!)
そうこうしている間にも、怪人はゆっくりと。
圧倒的な威圧感を持って、空の方へと振り返り始める。
このままではまずい。
また前回の様にやられてしまう。
それはだめだ。
人類のために勝たなければならない。
時雨をもう心配させたくない。
空は転がる様にその場から移動。
近くに転がっていた鉄パイプを手に取り。
「異能が使えなくても、レベルがなくなっても……あの世界で培った経験は、僕の中で生きてる!」
それがある限り、空は負けるつもりはない。
と、空は再び剣を――鉄パイプを構えるのだった。




