第五百三十七話 空とレベル7の力②
「さすがは索敵能力に特化した能力者……狙った通り、あの砂埃を利用してくれたみたいでよかった」
あとは後続の増援部隊と合流してくれるに違いない。
となれば――。
(目的は果たしたし、僕も撤退してもいいんだけど)
と、空はそんな事を考えながら、周囲を見る。
するとそこに居るのは十数体の怪人だ。
この怪人たちを見逃せば、また別のところで誰かが被害に遭う。
それはあってはならない……それに。
(もう少し体の回復具合と、レベル7の力も試しておかないとだし)
撤退は論外だ。
と、空が戦闘続行を決めたその時。
「お、おまま、おまええ、じじじじ、邪魔、したな!」
と、言ってくるのは一匹の怪人だ。
比較的人間に近い姿をもつその怪人は、空へとさらに言葉を続けてくる。
「にに、人間、逃がす、だだだ、だ、ダメ! お、おお、おまえ、ゆる、許さない!」
「喋れるタイプの怪人か……」
そこで空はとあることを思う。
なので、空はそれを聞くため、怪人へと言う。
「お前達のボスはどこに居る? あの死神みたいな怪人……あいつはどこだ?」
「に、ににに、逃がした! おまままま、おまえ、許さない!」
「…………」
全く話にならない。
会話を試みた自分がバカだった。
と、空はため息を吐いたのち、片手に剣を構える。
そして。
「あなた達は今ここで、僕が全員打ち倒す……どこからでもかかって来るといい」
怪人たちへ、そんなことを言うのだった。




