第五百三十話 空と緊急出動
「胡桃、時雨達のところに戻ろう! 案内をお願い!」
「…………」
と、ピタリと止まる胡桃。
空はそんな彼女へと言う。
「えっと……胡桃?」
「…………」
やはり胡桃は何も言わない。
これは猛烈に嫌な予感がする。
というか、もはやそれしかない。
故に空はそんな予感を、実際に胡桃へと口にする。
「ひょっとして、帰り道がわからなくなってたりしない、よね?」
「ば、バカじゃない!? あたしが迷子になるなんてありえないんだから!」
「あぁ……」
これはまずいパターンだ。
と、空がそんな事を考えたその時。
「兄さん!」
と、聞こえてきたのは、どこからともなくやってきた時雨の声だ。
彼女は空達の方へと近づいて来ると、空へと言葉を続けてくる。
「ここに居たんですか……探しましたよ!」
「それにしては随分見つけるの早かったけど、僕達がここに居るの知ってたの?」
「いえ……言いましたよね? ここには多くの能力者が居ると」
「あぁ、なるほど」
大方、人を探せる異能でもあったに違いない。
なんにせよ、助かった。
「時雨、何が起きてるの?」




