第五百二十九話 空と地下散歩③
「胡桃はわざとここに案内してくれたんだよね? 僕が寝てばっかで気がめいってたから、少しは遊ばせてあげようって」
「あ、あたりまえよ! そうに決まってるんだから!」
と、言ってくるのは胡桃だ。
彼女は腕を組み、空へと続けてくる。
「あたしが道に迷って、間違えて遊技場に案内したと思ってたでしょ? そんなのありえないんだから!」
「うん、わかってるよ。胡桃はなんだかんだで、とっても優しいから」
「っ……む、むぅ~~!」
と、頬を膨らませている胡桃。
相変わらず、彼女は表情豊かだ。
(これで急に怒ったり、急に攻撃してこなければ、普通にかわいい女の子なんだけどな……って)
いったい何を考えているのか。
空が頭をふったその時。
辺りに大きな警報が鳴り響く。
同時、周囲を照らすのは赤い光。
「胡桃、これなにかわかる!?」
「わ、わかるわけないでしょ! あたしだって、ここに来たのは最近なんだから!」
と、言ってくる胡桃。
なんにせよ、何か悪い事が起ころうとしているのは確かだ。
空はそんな事を考えながら、胡桃へと言うのだった。
「胡桃、時雨達のところに戻ろう! 案内をお願い!」




