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第五百二十五話 空とりんごの皮③
「今ので、おまえが私のものになったのか……そういうことよ」
と、言ってくるのは氷菓だ。
うん……全く意味が分からない。
そんな事を考えている間にも、氷菓は空へとさらに続けてくる。
「年上の包容力のある女性、弱ったところを看病……そして、あーん」
「は、はぁ……」
「これで惚れないわけがあるかしら?」
「…………」
最近思い始めたのだが。
ひょっとすると、氷菓は頭があまりよくないのかもしれない。
もっとも。
(こうして看病しに来てくれることは、とっても嬉しいんだけどね)
と、そんな事を考えている間にも、再びあーんしてくる氷菓。
そして、それに向け口を開く空。
もぐもぐ。
もぐもぐもぐ。
「それで空……なんだかんだでおまえ、私の話を聞かなかったことにしていない?」
と、空の心に響くことを言ってくる氷菓。
彼女はジトっとした瞳で、そのまま空へと続けてくるのだった。
「結局おまえ、私のこと……好きなの? それともなんとも思ってないの?」




