第五百二十二話 空はやられた後の話を聞いてみる③
「そうだけど、それでも心配なんだ!」
「?」
と、わからないといった表情のノイン。
空はそんな彼女へと言葉を続ける。
「僕はなるべくなら、仲間に傷ついて欲しくない……それが本心だ。それに、ノインの場合は他の異能者にはないリスクがあるでしょ?」
「ある……だけど、大丈夫」
「大丈夫って、何が?」
「私一人でやったら……かつ、あの怪人を倒そうとする前提なら大分キツイ。今回は……そうじゃない」
と、そんなノイン曰く。
今回の戦いは逃げと攪乱に徹したものだったらしい。
氷菓が防御を担当。
時雨とノインがあの怪人を攪乱。
その隙に、胡桃と空を逃がす。
そして、その後。
他ヒーローとも合流し、退路を確保しつつ撤退。
最初からまともに戦うつもりのない作戦。
だからこそ、空含めノイン達はこう逃げ切れた。
彼女は空へと、そんな戦いの顛末を聞かせてくる。
「それでもやっぱり僕は……」
「心配?」
と、首を傾げてくるノイン。
そんな彼女は空へと言葉を続けてくるのだった。
「あんたは心配しすぎ……でも、あんたに心配されると、なんだか嬉しい」




