第五百十九話 空はおみまいされてみる②
「姉さん……居る?」
と、言ってくるノイン。
彼女はひょこひょこと、空の方へと歩いて来る。
そして、彼女は胡桃の肩へ手をかけながら、言葉を続けてくる。
「空が起きたって聞いた途端、急に走り出したかと思えば……やっぱりここ。そんなに泣いてたら空に迷惑」
ぐいーぐいー。
と、ノインは胡桃の肩をひっぱる。
しかし、胡桃は「うぅ」っと泣いたまま動かない。
ぐいぐい。
うぅ。
と、そんな攻防が続いて数分。
ついに――。
「……はぁ」
ノイン、諦める。
そして、そんな彼女は胡桃の隣に座ると、空へと言ってくる。
「遅れたけど……あんた、もう大丈夫なの?」
「うん、ノインも心配してくれてありがとう」
「……別に。でも、助けに行ったかいがあってよかった」
「助けにって、え?」
「……ひょっとして時雨から聞いてない?」
ノインが言っているのは、空が怪人にやられた後。
いったい何がどうなったのか――ということに違いない。
そういえば、空は自分がどうやって助かったのか知らないのだ。
「よければ、僕がやられた後どうなったのか知りたいんだけど」




