第五百十八話 空はおみまいされてみる
(何か作戦を考えて、確実に勝たないと……みんなのために)
と、空がそんなことを考えてから数分後。
厳密には、時雨が――。
『みんなに兄さんが起きたのを伝えて来ます』
と、言って部屋を出て行ってから数分後。
現在、空のベッドの真横では――。
「うぅ……くぅううう~~~~~!」
と、胡桃が大泣きしていた。
彼女はぐすぐすと、空へ言葉を続けてくる。
「あ、あたし……あんたが……あんたが死んじゃうかもって……っ」
「え、えっと」
これは反応に困る。
まさか、胡桃がここまで泣くとは思ってもみなかったのだ。
空の中の胡桃といえば――。
『はぁ? あんた何あんな怪人にやられてるのよ! もっと頑張りなさいよね!』
とか言ってくる少女だ。
だからこそ、空もそれに合わせた返答を用意していたのだが。
「くぅ……あたし、あたしは……あんたが死んじゃうかもって、だからとっても心配で――ぐすっ」
と、完全大泣きモードの胡桃。
やはり反応に困る。
だが。
(こんなに心配してくれると、不謹慎かもだけど……やっぱりうれしいな)
と、空がそんなことを考えたその時。
コンコンっと、ノックされる扉。
それと同時――。
「姉さん……居る?」
そんな唯花が、ひょこりと顔を出してくるのだった。




