第五百十七話 空は日本を襲った怪人について聞いてみる④
「怪人の王は……僕のレベルの概念そのものを無効化している」
「ですけど、言っても兄さんが居るのは大きいです……なんとかして、兄さんがレベルの概念を保ったまま、あの怪人に一撃入れられる戦略を練れば、勝てるはずです!」
と、言ってくる時雨。
空はそんな彼女の頭を撫でながら、一人考える。
レベルの概念の無効化。
身体の傷が人外的速度で治っていることを考えるに、今はレベルは元通りに違ない。
けれど、怪人の王の力はヒーローだけでなく、空にとっても致命的だ。
(僕の身体能力の全ては、レベルに依存してる……あの能力を受けたらかなり分が悪い)
筋肉ヒーロー『マッスル』などは、異能を失っても一般人よりは強いに違いない。
なんせあの筋肉だ。
(僕の場合は完全に無力。レベルの概念を失ったら、他には何も……いや、完全になにもないわけじゃないか)
戦闘経験は確実に積み上げられている。
とはいえ、それだけで直接ぶつかり合うのは避けたいところだ。
(僕はヒーローだ。きっと、みんな期待してくれてる……だから、もう負けるわけにはいかない)
怪人の王。
次にやつと戦うときは――。
(何か作戦を考えて、確実に勝たないと……みんなのために)




