第五百十五話 空は日本を襲った怪人について聞いてみる②
「そこは異能様様です……様々な異能者が、協力して生活環境を作りましたから」
と、言ってくる時雨。
なるほど、それならば納得がいく。
大方、専門の人の指示にしがって、能力者が工事を進めたに違いない。
どんな能力者はわからない――けれど、コンクリートを操作する異能などがあれば、比較的簡単に生活環境は整えられる。
と、空がそんな事を考えたその時。
「まぁそれでも、数週間でここまで環境を整えるのは大変でしたけどね……」
と、言ってくる時雨。
空はそんな彼女へと言う。
「この場所のことはわかった。それで本題――と言ったらアレだけど、人間をこの環境に追い込んだ元凶はなんなの? どうして一度に、あんな大量の怪人が攻めて来たの?」
「……怪人の王」
と、ポツリと呟く時雨。
彼女は空へとさらに言葉を続けてくる。
「兄さんも見ましたよね……あの鎌を持った怪人」
「鎌を持った――僕を倒したあの、怪人」
忘れるわけがない。
空の胸には、今でもその怪人から受けた傷が残っているのだから。
空はそんなことを考えながら、時雨へと言う。
「あの鎌を持った怪人が、怪人の王なの?」
「喋れる怪人たちが、あれが自分達の王だと言っていました……王と我々の母船が来た以上、人間達に未来はないと」
「王と、母船? ちょっと待って、じゃあ――」
「はい、兄さんの考えている通りだと思います」
と、こくりとうなずく時雨。
という事は――。
(これまで地球にやってきた怪人は、全員が宇宙人? たしかに、一部の研究によるとそういう説もあったけど、まさか本当にそうだったなんて)
そうなってくると、今までの怪人たちはいわゆる様子見。
今回来た王と母船が、本隊という事になって来る。
(様子見の先行隊にあれだけ苦戦していたんだ。本隊に勝てるわけがない……)
それに、その怪人の王とやらは空よりも強いのだ。
レベル6である空を、一撃で倒すほどに。
と、空はここでとある事が気になる。
故に、彼は時雨へと言うのだった。
「ねぇ、時雨。あの怪人――怪人の王について、何か知ってる? なんだか、戦っている時に妙な感覚がしたんだ」




