第五百十三話 空は死にかけてる間の説明をされてみる②
「え……なんで僕生きてるの」
「…………」
と、ジトーとした視線を向けてくる時雨。
空は少し考えた後、そんな彼女へと言う。
「あ、いや。よく考えたら、なんとなく心当たりはある、かな」
レベルだ。
空の身体能力はレベルによって、常人の数倍になっている。
傷の回復能力も、数倍になっている。
仮にそう考えれば、空の心臓が回復した理由もわからなくはない。
と、空は自分の考えを時雨へと伝える。
すると、彼女は空へと言ってくる。
「なるほど……それであの回復力ですか。兄さんの治療をした人達も、とても驚いていました。生きているのが不思議なレベル……心臓が勝手に治っていっていると」
「あ、あはは。なんか改めて聞かされると、気持ち悪いというかなんというか」
「別にいいじゃないですか……そのおかげで死ななかったんですから」
「いや、そうなんだけどさ」
と、空はここでとあることに思い至る。
それは。
「ところで、時雨。僕ってどれくらい寝てたの?」
「二週間くらいですかね……きっとみんな驚きますよ。心臓と肺がめちゃめちゃになってたのに、二週間で普通に喋れるまで回復したと知ったら……」
と、安心した様な呆れたようなため息をする時雨。
そんな彼女は空へと言葉を続けてくる。
「兄さん……本当に大丈夫なんですよね?」
「うん、まだ動けそうにはないけど、それ以外は問題なさそう」
「はぁ……一先ずは安心、ですか」
と、空のベッドの方へぐでっと倒れてくる時雨。
空はそんな彼女へと言うのだった。
「ところでさ、僕が戦った怪人について聞きたいんだけど……というか、日本のこの状況について聞きたいんだけど」




