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第五百六話 胡桃は怪人の親玉と戦ってみる②
「怪人、あんたは許さない……絶対に、殺してやる」
直後、胡桃は異能を連続して発動。
その全てを、次々に怪人へと叩き込む。
小指で弾くように。
腕を大きく薙ぐように。
(空を一撃で倒した怪人――わかってる、あたしが勝てるわけない)
しかし、これだけ攻撃を叩きこめば、さすがに隙くらいはできるに違いない。
そうすれば、ある意味では胡桃の勝利だ。
なぜならば。
(あたしの勝利条件は、空を連れてここから逃げること!)
と、胡桃はそんなことを考えた後、特大の盾を怪人へと叩き込む。
それど同時、周囲に響き渡る轟音……舞い散る砂埃。
感じる手ごたえ。
逃げるなら今しかない。
胡桃は空に肩を貸し、なんとかこの場から逃げようとする。
しかしその時。
周囲の砂埃が、不自然に吹き飛ぶ。
やがてその中から現れたのは――。
「無傷って……嘘、でしょ」
胡桃と空へ向け、鎌を振り上げる怪人。
そんな奴の姿だった。




