第五百二話 空と怪人の親玉
「空……次はもっと早くどうするか、決めた方がいいみたいね」
と、呆れた様子の胡桃の声。
同時、開くのは宇宙船のハッチだ。
(胡桃が呆れるのもわかるな)
先ほど、空達は百体以上の怪人を楽に倒した。
にもかかわらず、怪人側はまたも怪人たちを増員しようしているのだ。
きっと、そうすれば空達を倒せると踏んでいるに違いない。
(でも、向こうから降りてきてくれるなら好都合だ)
宇宙船自体の対処は後になってしまう。
けれど、中身の怪人を全滅させられるのならば、それはそれでいいのだから。
だがしかし。
「ねぇ、あたしの見間違いじゃなかったら……あれ」
と、言ってくる胡桃。
空はそんな彼女へと言う。
「いや、見間違いじゃないよ――降りてきてる怪人は一体だけだ」
「なにあれ、どういうつもり? まさか白旗でもあげに来たってわけ?」
「わからない……」
「空! 例え白旗でも、そんなの無視しなさいよね! 日本をこんなにした怪人の降伏なんて、受け入れる必要ないんだから! 殲滅よ! 殲滅あるのみなの!」
ぷんすかぷんすか。
胡桃はお怒りだ。
けれど正直、空だって許せないという気持ちはある。
まぁ、どうするにせよ相手の出方しだいだ。
それになにより――。
(この気配……降伏を宣言しに来たとか、そんな感じはしない)
降りてくる怪人からは、敵意と悪意を感じる。
そして、これまで感じたことのないほどの強さを。




