第四百九十三話 空は日本を探索してみる②
空と胡桃が探索を始めてから、数時間後。
時刻はすっかり夕方。
「ダメ、ね」
と、ため息交じりに言ってくるのは胡桃だ。
彼女は空へと言葉を続けてくる。
「どれだけ歩いても、あるのは廃墟ばっかり。みんなの痕跡は見つからないわね……」
「うん。でも、わかったこともあるよ」
先も言った通り、空と胡桃は数時間この廃墟となった日本を歩いた。
結果、見つかったのは廃墟だけには違いないのだが……。
「いたるところで、何かと戦った跡が見つかった」
「たしかに……建物を何かに壊された形跡があったわね」
と、言ってくる胡桃。
彼女は空へと言葉を続けてくる。
「露骨なやつだと、壁に刃物みたいな傷があったり、地面を殴りつけたような跡もあったし……でもそうなると、みんないったい何と戦ってたのよ?」
「それはまだわからない。でも、可能性があるのは――」
と、空が言いかけたその時。
突如、空達の周囲に影が出来る。
「空、上よ!」
と、言ってくる胡桃。
空が彼女の視線を追って、上空を見ると。
そこにあったのは――。
「なんだ、あれ!?」
そこにあったのは、映画に出てくるような宇宙船だ。
しかも、並み大抵のサイズではない。
(あんなに大きな船が現れるのに、どうして気がつかなかったんだ!? どうして僕達はあの船がやってくる気配を――)
と、そんな空の疑問の答はすぐに判明した。
それは――。
(っ――船の端が透けてる……まさか、今まで透明になっていただけで、最初から船は真上にあったのか!?)
「空! なにか船から降りてくるわ!」
と、言ってくる胡桃。
空は降りてくるものを確認したのち、胡桃へと言うのだった。
「怪人だ……胡桃、油断しないで!」




