第四百八十六話 空はそろそろ帰ってみる②
「ところでリーシャ、そろそろ日本に帰ろうと思うんだ」
「…………」
リーシャ、途端に瞳から光が消えてしまった。
しかも、どんよりオーラを噴出のおまけつきだ。
空はそんな彼女へと言う。
「え、ちょ――リーシャ!?」
「お別れなんですね……でも、仕方ないことなんですよね?」
「そんなに落ち込まなくても――」
「最近、寝ても覚めてもクウ様が傍に居るから、わたしはそれに慣れてしまいました……だから、わたしのせいなんです……クウ様との別れに、こうして胸の痛みを覚えるのは」
「…………」
リーシャ、想像以上にどんよりしている。
なんなら、このまま魔王になってしまいそうなほど、負のオーラが取り巻いている。
これは何かしらフォローした方がいいに違いない。
故に空はリーシャへと言う。
「大丈夫だよ、リーシャ。僕はもう王様なんだし、定期的にこっちに帰って来るから」
「うぅ……わたしもシャーリィ様の様に、クウ様の世界に行きたいです」
「いやそれは――」
「クウ様! わたしを奴隷にしてください!」
「え!?」
それはまずい。
聖女を奴隷にするのは、さすがにまずい。
空がそんなことを考えている間にも、リーシャは続けて言ってくるのだった。
「奴隷商に身売りしてきます! クウ様がすぐにわたしを買って下さい! そうしたら、わたしは身も心も正真正銘クウ様の――あ、クウ様! 逃げないでください!」




