478/612
第四百七十八話 空はへとへとになってみる
魔王を倒してから数時間後。
場所はエクセリオン城門前。
「胡桃!」
「言われなくても、わかってるんだから!」
と、聞こえてくる胡桃の声。
同時、空に向かって放たれるのは、魔物による火球。
しかし、それは空にあたる直前ではじけ飛ぶ。
さきほど、胡桃が不可視の盾を張ってくれたおかげだ。
「空、今よ! あいつで最後……止めは任せたんだから!」
と、再び言ってくる胡桃。
きっと、不可視の盾を解除したに違いない。
であるなら、空がするべきことは一つ。
「っ!」
空は即座に魔物の方へと突き進む。
そして――。
「これで、終わりだ!」
剣技《一閃》。
魔物の体は綺麗に両断される。
…………。
………………。
……………………。
そんなしばしの静寂。
やたら自分の呼吸の音が大きく聞こえる。
空がそんなことを考えながら、剣を鞘へと納めたその直後。
大地を揺るがすような。
歓喜に溢れた人々の声が、聞こえてくるのだった。




