第四百七十七話 空は魔王を倒してみた
「どうしてクーも一緒に来ないんだ? クーだってボロボロだ!」
と、言ってくるシャーリィ。
空はそんな彼女へと言う。
「僕にはまだすることがある」
先ほども言ったが、まだ魔物は数多く残っている。
魔王を倒したからといって、即座にエクセリオンが平和になるわけではない。
(とはいえ、トップが居なくなったんだから、魔物たちの統制も失われているはず……序盤よりかなり楽はできそうだけど……)
シャーリィの言う通り、空の体力的な問題はたしかにある。
そこを考えると、結果的にトントンか、それ以下の可能性が高い。
(まぁ、どっちにしろやるしかない。体力的にきついからって、戦うのをやめるわけにはいかない……なにより、そんなことをしたら僕は絶対に後悔する)
「でも、クー! リーシャが傍に居ないと、クーは本気を出せない! 単独行動は危険だ!」
と、もっともなことを言ってくるシャーリィ。
空はそんな彼女へと言う。
「たしかにそうだけど、大型の魔物は殆ど倒したあとだ。それに戦場には胡桃が残ってる……僕は一人で戦うわけじゃないよ」
「……でも」
「安心して、シャーリィ。僕は絶対に負けないから」
空はそこまで言うと、シャーリィの頭を優しく撫でる。
そして、まだ魔物達の居る方角を、ゆっくりと睨むのだった。




