第四百七十六話 空は魔王を倒してみる
「僕の勝ちだ……っ!」
と、空は剣の柄をアルハザードの腹部へ、全力で撃ちこむ。
すると、しばしの静寂の後――。
「こ、ぞう……きさ、ま――っ」
言って、ゆっくり崩れ落ちるアルハザード。
彼女は意識を失ったのだ。
(さすがに僕の全力が直撃したら、アルハザードさんでもこうなるか……とはいえ)
とはいえ、これで空の勝利は決まった。
アルハザードは戦闘不能、さらには魔王のジョブも消え失せた。
「あとはエクセリオンを襲ってる魔物残党を倒すだけか」
「クー! クー! 大丈夫なのか!? シャーリィは心配だ!」
と、聞こえてくるのはシャーリィの声。
見ると、空の方へと近づいて来ている彼女。
空はそんな彼女へと言う。
「僕は大丈夫。それより、アルハザードさんをお願いできるかな?」
「アルハザードをか? どうすればいいんだ?」
「リーシャのところに連れて行ってほしい。アルハザードさんを回復させるのもそうだけど、死なない様に説得するのはリーシャの方が適任そうだし。あぁ、それともちろん――」
「大丈夫だ! ちゃんとアルハザードの身に何が起きたのかも言う!」
と、尻尾をふりふりシャーリィ。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「クーが魔王のジョブをやっつけて、アルハザードが真人間になったって、シャーリィはちゃんと説明できる!」
真人間……。
なんだかニュアンスが違う気がする。
だがまぁ、その辺りはシャーリィに任せるとしよう。
「それよりクー!」
と、言ってくるシャーリィ。
彼女は空へと言葉を続けてくるのだった。
「どうしてクーも一緒に来ないんだ? クーだってボロボロだ!」




