第四百七十五話 空と魔王の最終決戦⑥
「っ!」
空の首めがけ、振られるのはアルハザードの剣。
けれど、その剣は刃を寝かせているのがよくわかる。
とはいえ――。
(速い!)
さすがはアルハザード。
魔王のジョブを失ったとはいえ、英雄の力は伊達ではない。
彼女の剣の速度は、全力時の空に匹敵している。
(でも、僕は負けられない!)
と、空は咄嗟に自分の眼前に、異能 《道具箱》を展開する。
その瞬間――。
「な、にぃ!?」
と、弾かれるのはアルハザード剣。
理由は簡単だ。
「これは僕の所有物以外、どんなものでも通さない!」
それが例え相手の攻撃であってもだ。
それこそ《道具箱》のルール――日本へ持ち込める物の最低基準なのだから。
(正直、防御にこの力を使ったのは初めてだし、完全な思い付きだったから、イチかバチかだったけど――)
結果として、アルハザードの攻撃は弾いた。
さらに彼女は現在、体勢を崩している。
ならば――。
「僕の勝ちだ……っ!」
空は剣の柄をアルハザードの腹部へ、全力で撃ちこむのだった。




