第四百七十四話 空と魔王の最終決戦⑤
「あなたを倒す。僕は今ここで、あなたを完全に越える」
「やってみろ、小僧」
と、言ってくるアルハザード。
空はそんな彼女へ向け、剣を構える。
(注意するべきは、アルハザードのもう一つの魔眼だ)
あの力を使われれば、逆に空が一撃でやられかねない。
しかし、わかっていることもある。
(多分……いや、絶対にアルハザードさんは僕を殺そうとはしてこない)
今のアルハザードは正気だ。
ならば、彼女に空を殺す理由はない。
確実に空の気絶を狙ってくるに違いない。
(そこにつけこんで勝つしかない……まぁ、相手を殺せないのは、僕も同じなんだけど)
なんにせよ、やることは一つ。
アルハザードを全力で無力化する。
彼女に彼女を殺させないために。
空がそう考えた直後。
アルハザードの姿が消える。
(魔眼の瞬間移動……来るっ!)
空は全集中力を、身体の周囲に張り巡らせる。
そして――。
わずか時間の後。
背後から感じる気配。
さらに、何者かが地面を踏む音と振動。
空が振り返った直後。
アルハザードの剣が、空の首めがけて振られるのだった。




