第四百七十一話 空と魔王の最終決戦②
「アルハザード……さん?」
「…………」
と、やはりアルハザードは何も言って来ない。
そこで空は、もう少し距離を詰めようとするのだが。
「クー! 不用意に近づくのは危ない!」
と、言ってくるシャーリィ。
たしかに彼女の言う通りだ。
しかし、今回ばかりはそうも言っていられない。
空はシャーリィを手で制す。
そして、そのままアルハザードのもとへ、もう一歩踏み出す。
するとその時――。
「大丈夫、だ……」
聞こえてくるのはアルハザードの声。
彼女は頭を抑えながら、空へと続けてくる。
「俺は……そうか、暴走してたのか。ははっ、ざまぁないな……俺なら魔王の力を使いこなせると思ったんだが」
「どうして、そんな危険なことしたんですか。魔王の力を取り込むなんて」
「そっちの方が強いし、かっこういいだろう? 魔王の力を取り込んだ冒険者……なにより、その方がより多くの人を助けられる。まぁ、結果的に真逆のことをしてしまったわけだが……」
と、アルハザードはよろけながらも立ち上がる。
そして、彼女は空へと言ってくるのだった。
「なぁ、クウ……貴様は強い。そこで頼みがあるんだ――俺を殺してくれ」




