第四百六十四話 空は魔王にやられてみる
「っ――!」
レベルが順調に上がって以降、ここまでダメージを受けたのは久しぶりだ。
故に、痛みのせいで身体が思う様に動かない。
だがそれでも、空はなんとか剣を引き抜くことに成功する。
とその時。
「俺の勝ちだな?」
聞こえてくるアルハザードのそんな声。
同時、空の首へと突きつけられる彼女の剣。
空はそんな彼女へと言う。
「今のは……油断しましたよ」
「だろうな、教えてなかったからな。ふぅ……強くなっても所詮は小僧か、初見の技でも対応してほしかったよ」
「っ――」
対応できるわけがない。
アルハザードは瞬間移動したかのように、空の前に現れたのだ。
しかも、空が魔眼を発動させているにもかかわらずだ。
(あの技能はなんだ? 魔眼 《王の左目》の延長線上の何かなのか? それとも全く別の――)
「興味津々と言った様子だな? 少しは楽しませてくれた礼――教えてやろう」
と、言ってくるアルハザード。
彼女は右目に手を当てならが、空へと続けて言ってくるのだった。
「魔眼 《貧者の右目》。俺が注視した場所に、触れているもの……もしくは自分を一瞬で移動できる能力だ。本来は暗殺につかう技能らしいが……まぁ、こういう使い方もできる」




