第四百六十三話 空は魔王と戦ってみる④
(魔眼の負担に耐えられるか……それが勝負だ。それに他の魔物との戦いで、すでに体力を消耗してるのも痛い――まぁ、負ける気はないけど)
それにしても、リーシャと分断されたのは、やはりかなりの痛手だ。
リーシャのブーストさえあれば、アルハザードを圧倒できたに違いない。
もっとも、アルハザードだって、それをわかっているからこそ、先制攻撃を仕掛けたに違いないのだが。
「おいおい……いつまで止まっている?」
と、空の思考を断ち切るように聞こえてくるのは、アルハザードの声。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「俺と同格の奴は久しぶりなんだ、全力で戦ってくれよ!」
同時、信じられないことが起きた。
アルハザードが突如、空の目前へと現れたのだ。
(なっ!? ありえない……僕は魔眼をずっと発動させて――)
空がまともに考えられるのは、そこまでだった。
なんせ直後、アルハザードの痛烈な蹴りが再び空の腹部へ炸裂したからだ。
しかし、今回はそれだけでは終わらない。
「く、そ――」
吹き飛んだ先、叩きつけられた壁。
再び前へ進もうとしても、空の身体が動かないのだ。
まるで、壁へ縫い付けられたかのように。
「っ――あ」
感じるのは燃え上がるような痛み。
見れば、空の肩にはアルハザードの剣が突き刺さっていたのだった。




