第四百六十二話 空は魔王と戦ってみる③
「ほう。たった一回打ちあっただけで、もう気が付いたか」
と、言ってくるアルハザード。
空はそんな彼女へと言う。
「可能性がそれしかないですからね。あなたは魔眼 《王の左目》を使える。だから、さっき異常な速さが出せたんだ」
「ご名答」
だとしたら、対処法は簡単だ。
空も魔眼を発動させ続ければいい。
だが――。
(そうなると、身体への負担が計り知れない。弱い相手ならまだしも、アルハザードさんレベル相手だと、常に全力でやらざるをえないし)
早めにケリを付ける必要がある。
とはいえ――。
「考え事は終わりか? さぁ、続きといこう!」
聞こえてくるアルハザードの声。
同時弾き飛ばされる空の剣。
アルハザードはそれを好機と見たに違いない。
彼女は凄まじい速度で、空の銅へと剣を振るってくる。
「っ!」
空はすぐさま《ブラックスミス》で剣を作成。
それを使って、アルハザードの攻撃を防ぐ。
そしてそのまま、左手にもう一振りの剣を作ると――。
「剣技 《七閃》!」
「ははっ! あぁ、いいよクウ! 戦っていてこんなに楽しいのは久しぶりだ!」
と、言ってくるアルハザード。
彼女は空とまったく同じ工程で、空の剣技を相殺してくる。
それを見て空は確信するのだった。
アルハザードを倒すのは、長期戦になる。
(魔眼の負担に耐えられるか……それが勝負だ。それに他の魔物との戦いで、すでに体力を消耗してるのも痛い――まぁ、負ける気はないけど)




