第四百六十一話 空は魔王と戦ってみる②
「僕は勇者としてエクセリオンを守る……そして、あなたを救う!」
「随分とくさいことを言ってくれるな」
と、わずかに笑みを見せるアルハザード。
彼女はそのまま空へと言ってくる。
「まぁ、そうしてくれると俺も助かるよ。俺を倒せるほどの力があるなら、俺も相当楽しめる……あの時、助けたかいがあるというものだ」
と、アルハザードがそこまで言ったその時。
突如として彼女の姿が消え――。
「どこを見ている?」
聞こえてきたのは背後。
空はすぐさま魔眼を発動させる。
そして、振り返ると同時に剣を振るう。
次に聞こえ来たのは、鉄と鉄がぶつかりあう音。
(なんだ? 今の異常な速度は……攻撃はなんとか防げたけど、魔眼を使ってやっと――)
と、空はとあることに気が付く。
それは――。
(魔眼を発動しているのに、アルハザードさんの動きが遅く感じられない)
もちろん、先ほどの異常な速度ではなくなっている。
けれど、あくまで通常の速度に戻った程度なのだ。
いくらなんでもありえない。
かつて強力な敵と戦った際、同じように魔眼の力が充分に発揮されない事はあった。
しかし、空とアルハザードの力はそう離れている訳では――」
「っ……まさか」
「ほう。たった一回打ちあっただけで、もう気が付いたか」
と、アルハザードは嬉しそうに言ってくるのだった。




