第四百六十話 空は魔王と戦ってみる
「あなたの失敗はこの場に来たことです。本来自身の城に引きこもっている魔王が、僕の目の前にいるのなら、この場で倒すことができる……それとも、それが願いですか?」
「それが願い? この俺が小僧に倒されたくて、この場に来たとでも……く、くく」
と、顔を抑えて笑みを浮かべるアルハザード。
彼女はそのまま空へと言ってくる。
「全く違う。俺は我慢が出来なかっただけだ。戦場で一人、無双が如き活躍を見せる小僧と戦いたい……そんな願望を抑えきれなかっただけだ。あぁ、それと――」
直後、空の視界からアルハザードの姿が消える。
同時――。
「本気で俺を倒せるとでも、思っているのか?」
空の側頭部に直撃するのは、アルハザードのそんな声と痛烈な蹴り。
「ぐっ!?」
揺れる視界。
飛ばされた先で、空は思わず倒れそうになるが――。
「おいおい、一撃でへばるなよクウ!」
再び聞こえるアルハザードの声。
そして、迫る風を切るような音。
(音からして、たぶん刃物……このまま防ぐのも、くらうのも得策じゃない!)
と、空はすぐさま最善手を考える。
直後。
ぶつかりあうのは、同一の獲物。
魔法 《ブラックスミス》で作られた空とアルハザードの剣。
散々やられたが、ここからは反撃の時間だ。
空はアルハザードの剣を弾いたのち、すぐさま距離を取る。
そして、彼は彼女へと言うのだった。
「僕は勇者としてエクセリオンを守る……そして、あなたを救う!」




