第四百五十五話 空は勇者の力を全て使ってみる③
空の視線の先。
そこにあるのはヒュドラの残骸だ。
つまり。
(倒した……エクセリオンに被害を出さずに、倒すことが――)
と、そこまで考えたその時。
空の視界が一瞬暗転する。
「クウ様!? クウ様! 大丈夫ですか、クウ様!」
聞こえてくるリーシャの声。
気が付くと、空は地面に膝をついていた。
一瞬だけ意識を失っていたに違いない。
(聖天魔法の反動、か。まぁ仕方ないといえば仕方ないよね)
先ほど空が使った聖天魔法 《アルトリウス》。
あれは聖天魔法最強の魔法。
そんな魔法に、空の全力を注ぎ込んで撃ったのだ。
(平然としていられる方がおかしいか。むしろ、気絶して寝込まなかっただけ、いくぶんマシともいえるよね)
なんにせよ。
今大事なのは、無事にヒュドラを倒せたということ。
そして――。
「おいおい、小僧。召喚が完全にされきってないうちに、敵を倒すっていのは無粋じゃないか?」
と、空の思考を断ち切る様に聞こえてくる声。
直後、空の腹部に猛烈な衝撃が襲いかかるのだった。




