第四百四十六話 空はどんどん倒してみる②
「クウ様? それはいったい――」
と、そんなリーシャの言葉を遮るように、ついに襲いかかって来るゴブリンたち。
空はそれと同時に大きく腕を振りかぶり。
「拳技 《破砕》!」
正真正銘。
全力で地面へと拳を打ち付ける。
直後、巻き起こったのは凄まじい揺れ。
そして、空を中心に凄まじい速度で巻き起こる隆起。
ゴブリン質達は盛り上がった地面に弾かれ。
もしくは、地面に出来た割れ目に落ちて、次々に消えていく。
その規模はかなり大きい。
そのため、きっと隠れていたゴブリン達も壊滅したに違いない。
ようするに。
「クウ様……すごいです! どんな敵も一撃です! 敵が強くても、敵が多くても、クウ様は一撃です!」
と、言ってくるリーシャ。
彼女は両腕を空の首に回してくると、続けて言ってくる。
「さすがは勇者様です……尊いお方」
「ありがとう、全部リーシャが居てくれるおかげだけどね」
「そんなことはありません! わたしはあくまで、クウ様のサポートです! クウ様がいてこそのわたしです!」
こういう謙虚なところも、リーシャのいいところだ。
空はそんなことを考え、彼女を撫でようとするのだが――。
「飛行型の魔物だ! 来るぞ!」
近くに居た兵士達が、仲間の兵士に命令を出すそんな声。
それが空へと聞こえてくるのだった。




