第四百四十四話 空とサイクロプス②
「リーシャ、気を抜かないで! もう一体来る!」
と、空が言った直後。
空達の前に姿を見せたのは、二体目のサイクロプスだ。
きっと、付近の岩場に隠れていたに違いない。
「クウ様! あのサイクロプス、さっきの個体と違って巨大な鉈を持っています!」
と、言ってくるリーシャ。
空が彼女に返事を返す間もなく、サイクロプスは攻撃をしかけてくる。
サイクロプスが繰り出してきたのは、鉈を振り下ろしてくるという簡単なもの。
しかし、その巨体から繰り出されるそれは、凄まじい圧力を感じられる。
並大抵の人間なら、塵も残さず倒されてしまうに違いない。
けれど。
「今の僕にはリーシャもついている。その程度じゃ負けませんよ」
空は魔法 《ブラックスミス》によって作り出した片手剣で、その攻撃を受け止める。
さらに空は右手に力込めて、サイクロプスの攻撃を弾き飛ばすと――。
「剣技 《一閃》!」
サイクロプスの身体をすぐさま両断する。
同時、聞こえてくるのはサイクロプスが倒れる音。
そして、再び巻き起こる兵士達の歓声。
空はその様子を見て改めて認識する。
(やっぱり、強力な魔物は僕が倒していった方が、兵士の被害がでない済みそうだよね。もし僕が来る前に、二体目のサイクロプスも来てたら、ここの戦況はもっと悪くなってただろうし)
けれど、まだまだゆっくりしている場合ではない。
戦場では至る所で、強力な魔物が出現しているのだから。
空はそんなことを考えた後、リーシャへと言うのだった。
「この調子でどんどん倒していこう。僕達が頑張れば頑張るほど、味方の損害を抑えられるかもしれないから」




