第四百四十三話 空とサイクロプス
「わかりました! 力が増している分、普通の魔法でも反動に気をつければいいのですね?」
と、言ってくるリーシャ。
空はそんな彼女に頷きつつ考える。。
(僕の力をブーストするために、リーシャは僕から離れられない。それに、リーシャの身体能力は見た限りそこまでじゃない……)
となれば、空と違って急激な負荷がかかる動きを長時間続けるのは危険だ。
故に取るべき行動は一つ。
リーシャを守りつつ、迅速に敵を倒していく。
そんなことを考えてる間にも、みるみるうちに地面が近づいて来る。
空はサイクロプスへと視線を戻した後、リーシャへと言う。
「行くよ、リーシャ!」
「はい! 何かあっても全力でサポートします! だから、わたしのことは気にしないでください!」
と、聞こえてくるリーシャの声。
それと同時、足に伝わる衝撃。
けれど、それで硬直するわけにはいかない。
空はサイクロプスへと手を向け、溜めていた魔力を解き放つ。
「魔法 《ファイア》!」
直後、空の手から離れたのは極大の火球。
勇者の力と、リーシャによってブーストされたそれは――。
「す、すごいですクウ様! サイクロプスの上半身が消滅してしまいました!」
空の片腕に抱かれたまま言ってくるリーシャ。
同時、周囲から上がる兵士達の歓声。
だがしかし。
「リーシャ、気を抜かないで! もう一体来る!」
空が言った直後。
二体目のサイクロプスが姿を見せるのだった。




