第四百四十話 空と開戦②
「行こう、最初に狙うのはあのサイクロプスだ」
言って、空はサイクロプスが見える方へと足を踏み出そうとする。
だがしかし。
「ちょっと空! あっちも危なそうよ!」
と、聞こえてくるのは、サイクロプスとは離れた方を指さす胡桃の声。
空は彼女の指さす方へと視線を向けてみる。
すると見えてくるのは――。
「相手は強力な個体ってわけじゃなさそうだけど、兵士達が押されてる?」
「多分、純粋に数の問題でしょうね」
と、言ってくるのは胡桃だ。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「ほら、兵士の数と魔物数が拮抗してるわ。これってつまり、リーシャの話の通りなら――」
「一人一人の強さは魔物の方が強いから、このままじゃ押されるどころか崩される」
「今は統制とって戦ってるから、すぐに崩れたりはしてないけど、どう見てもじり貧……このままじゃすぐに総崩れなんだからね!」
「…………」
どうする。
今すぐ押されている場所に駆けつけたいのはもちろんだ。
しかし、サイクロプスを放置するわけにもいかない。
「手分けして対処しましょう」
と、空の悩みを断つように聞こえてるリーシャの声。
彼女は続けて言ってくるのだった。
「サイクロプスはわたしとクウ様が倒します。クルミ様とシャーリィ様は、あちらの兵士達の増援に向かってあげてください」




