第四百三十九話 空と開戦
「ついに動き出した! 戦いが始まったんだ!」
と、言ってくるのはシャーリィだ。
空は彼女の指さしている方を見てみる。
すると、そこには――。
巻き起こる土煙。
離れたここまで聞こえてくる地響き。
そして、魔物達があげる咆哮。
大小様々な魔物達が、エクセリオンへと向け進軍を開始している。
一方、人間たちもただ黙っているわけではない。
人間たちも魔物達に負けず劣らずの声を上げ、進軍を開始する。
両者で決定的に違うところを上げるならば、統制だ。
魔物達は個別に進んでいる印象なのに対し。
人間たちは規則だった編成で進んでいる。
後者は一目見ただけで練度の高さがうかがえる。
しかし。
(やっぱりリーシャの言った通りだ。すでに魔物と戦い始めてるところでは、人間たちがやや押されてる)
要するに、人間は魔物と戦うために練度を高くせざるをえないのだ。
一人一人の力では、魔物を倒すことができないから。
(特にあの巨人……サイクロプスはゲームでいう無双染みたことしているな。兵士達の統制のとれた戦いを、まるで意に介していない)
であるなら、最初に狙うべき場所は決まった。
故に空は仲間達へと言うのだった。
「行こう、最初に狙うのはあのサイクロプスだ」




