第四百三十五話 空は遊撃隊の方針を決めてみる
「遊撃隊といっても、ある程度の方針は必要だと思うんだ。それで、今から話すのはその方針なんだけど」
「方針? 遊撃隊ってその時々に応じて、味方に加勢するとかじゃないの?」
と、言ってくるのは胡桃である。
空はそんな彼女へと言う。
「うん。基本的に遊撃隊は、相手の伏兵とか奇襲とかに応じて、もしくは苦戦しているところに加勢するっていうのが一般的だよね」
「改めて方針を……ってことは、今回はそれじゃだめなの? あたしはそれで充分な気がするけど」
「いや。充分といえば充分なんだけど、なんていうかな――これから話す方針は、遊撃隊の本来の役割にプラスアルファするみたいな感じかな」
「つまり、危なそうな味方に加勢しつつも、別の目的を持って行動するってこと?」
と、言ってくる胡桃。
彼女の言葉は、まさに空がいいたことにピッタリだ。
故に、空は胡桃へと頷き、言葉を続ける。
「そう。それでその別の目的なんだけど、事前に一際強力そうな魔物を狙っていこうとおもってる。倒すのに時間がかかるかもしれないけど、結果的に戦力温存になると思うし」
「どうしてそうなるのよ! 理由を教えなさいよね!」
「それは――」
「シャーリィわかった! とっても強いクーが対処した方が、一番被害がでないからだ!」
と、空の言葉を引き継ぐように会話に参加してくるシャーリィ。
彼女はピコンと耳を揺らし、空へと言ってくるのだった。
「強力な魔物を倒すのに、本当ならたくさんの兵士が必要だ! しかも、兵士は強い魔物との戦いで、傷つくから戦えなくなっちゃうんだ! でもクーなら、一人で強力な魔物と戦える! しかも無傷で倒せるから、続けて戦えるんだ!」




