第四百三十一話 空はようやく認識してみる③
「シャーリィはクーのことが好きだ! でも、返事は別にいいんだ!」
と、言ってくるシャーリィ。
空はそんな彼女へと言う。
「え、でも――」
「大丈夫なんだ! シャーリィはクーのこと困らせたくない! それに、シャーリィはクーの傍にいるだけで幸せなんだ!」
「…………」
知っての通り、シャーリィはとてもいい子だ。
きっと、空の内心を読み取って、こういうことを言って来ているに違いない。
今の空にとって、それはなんともありがたいことだ。
けれど。
同時にそれは、猛烈な情けなさを感じさせる。
理由は簡単だ。
(こんなに気を使わせていいわけがない。シャーリィにはもちろん、他のみんなにも)
今日、空が明確に気がついたみんなの気持ち。
もしそれが、ずっと前からあったものだとしたら。
(僕はずっと、みんなをやきもきさせて来たことになる)
その上、答えを出すことから逃げるなんて、出来るはずがない。
それをしてしまえば、チキンどころの騒ぎではなくなる。
故に、空はシャーリィへと言うのだった。
「返事はするよ。すぐに……ってわけにはいかないけど、ちゃんと考えて……絶対に返事はする」




