第四百二十四話 空は改めて決意してみる
あれから数時間後、夜。
現在、空達はリーシャの部屋へと戻ってきていた。
その理由は簡単だ。
「このバルコニーからなら、花火が綺麗に見えます!」
と、言ってくるのはリーシャだ。
彼女はにこにこ空へと続けてくる。
「よろしければ、夕食もこちらに持ってきますけど……どうしますか?」
「ん~、どうしようかな。リーシャはお腹空いてる?」
「わたしはその……恥ずかしながら」
と、リーシャは自身のお腹を撫でている。
きっと、お腹がいっぱいに違いない。
けれど、それは仕方のないことだ。
あの射的勝負の後にも、実は勝負は続いたのだ。
勝負の内容は様々だったが、その一つに早食い勝負があった。
リーシャの現況は、それが理由に違いない。
と、空がそんなことを考えていると。
「クー! シャーリィはご飯食べたい! シャーリィはお腹空いたんだ!」
尻尾をふりふりシャーリィ。
空はそんな彼女へと言う。
「え、シャーリィも沢山食べてたと思うけど、もうお腹すいたの?」
「空いた! シャーリィはあれじゃ全然足りないんだ! 狐娘族はたくさん食べるんだ!」
「あ、あの……シャーリィ様」
と、会話に入って来るのはリーシャだ。
彼女はシャーリィへと言う。
「まだ夕食には少し時間があります。よかったら、何か食べ物を持って来ましょうか?」
「いい! シャーリィ我慢する! 我慢して食べた夕食の方が美味しいんだ!」
「偉いです! シャーリィ様はよくできた狐様なのですね!」
「シャーリィはよくできた狐なんだ!」
ふりふり。
ほわほわ。
シャーリィとリーシャの間で、謎のほんわか空間が出来上がっていた。
それにしても、二人は本当に仲がいい。
(こうして見てると、本物の姉妹みたいだよね。シャーリィが少しおっちょこちょいな姉で、リーシャがそれを支える妹って感じかな)
妹といえば時雨。
彼女は今頃何をしているだろうか。
空がそんなことを考えたその時。
「ねぇ、空! ちょっとこっち来なさいよ!」
胡桃のそんな声が聞こえてくるのだった。




