第四十二話 空と二つの世界が交わる場所
「で、早くゲート出しなさいよ！」
と、またもベッドの上に座り、偉そうに言ってくる胡桃。
空は再びため息を吐き、そんな彼女の前で――。
「異能《道具箱》！」
すると、空の前に現れたのはお馴染みの空間の歪み。
ゲートである。
「へー、この向こうが異世界ってわけ？」
と、ベッドから立ち上がり言ってくる胡桃。
彼女はゲートへと手を伸ばしながら、さらに続ける。
「この先で力が……どんな怪人にも負けない。大切な人を守れる最強のヒーローに、あたしも――っ」
と、胡桃がそう言って、ゲートに手を触れた瞬間。
バチッ。
そんな音と共に、弾かれる胡桃の手。
当然、胡桃はキッと空を睨み付けながら言ってくる。
「どういうことよ！ あんたまさか、やっぱり嘘を――」
「違うよ。予想はしてたけど、胡桃じゃゲートは通れないんだ」
「な、なんでよ！」
「そんなの、胡桃が僕の所有物じゃないからに決まってるでしょ」
胡桃は奴隷宣言しただけであり、シャーリィとはきっと本質が違うのだ。
そもそも奴隷宣言しただけでゲートを通過できるのなら、さすがに判定が緩すぎる。
「じゃあ、どうすればあんたの所有物になれるのよ！ 奴隷になるって言っただけじゃ足りな――っ！」
と、胡桃は自分の身体を抱きしめながら言ってくる。
「あんたまさか、あたしの身体を要求する気！？ た、たしかに心も身体も好きにとは言ったけど……さ、さすがに早すぎるというか」
「はぁ……」
「っ！ あんた！ ため息ばっかり吐いてないで、何かほかのこと――そう、証拠見せなさいよ！ この先が本当に異世界続いている証拠！」
「証拠ってなに？」
「異世界にしか存在しないものよ！ それを持ってきなさい！ そうしないと、あたしも本心からあんたの奴隷になれないの！ そう、全部あんたのせいなんだから！」
「……はぁ、わかったよ」
と、空は胡桃を待たせ、一人ゲートをくぐるのだった。
