第四百十八話 空とお菓子
「クウ様が作って欲しいお菓子、わたしに教えてください!」
と、空へと言ってくるのはリーシャだ。
胡桃はそんな彼女へと言う。
「ちょっと! 真似しないでよね!」
「真似じゃありません! わたしはクウ様のために、何かしたいだけです!」
「だったら、お菓子作り以外のこと考えなさいよね! お菓子作りは、あたしが先に考えたの!」
「うぅ……い、嫌です!」
なかなか強気なリーシャ。
空は彼女がすぐ引き下がると考えていた。
しかし、この話題はどうやら、彼女の中で重要なことに違いない。
「男のハートをつかむには、まずは胃袋から! そう聞いたことがあるからダメなんです!」
と、意味不明なことを言うリーシャ。
一方、胡桃はそんな彼女に対し――。
「は、ハートをつかむ!? あ、あたしは別にそんな意図なくもないんだから!」
「わたしにはあります! クウ様のことがとても大切なんです! クウ様のために何かしてあげたいんです! クルミ様にそんな意図がないのなら、今回の件はわたしに譲ってください!」
「うっ、く――」
と、珍しくも追い詰められた表情の胡桃。
彼女はうーうー唸った後、リーシャへと言うのだった。
「だ、だったら勝負よ! 勝負しなさい!」




