第四百十三話 空は誘ってみる
時はリーシャとのおでかけから数時間後。
場所はお馴染みリーシャの部屋。
「というわけなんだけど、みんなでお祭りいかない?」
「行く! シャーリィはお祭りが大好きなんだ!」
尻尾をふりふり言ってくるシャーリィ。
彼女は空へと続けて言ってくる。
「でも、せっかくのお祭りだから、マリィも連れて来たかった……」
「たしかにそうかもね。マリィだけじゃなくて、ソフィアも連れて来られたら、もっと楽しめたかもね」
と、空はふと気が付く。
マリィはともかく、ソフィアを連れてきて大丈夫かと。
なぜならば。
(ソフィアって元魔王なんだよね。エクセリオンの人にとっては、あんまり心象がよくないだろうし)
エクセリオンは魔王との戦いの最前線。
長年に渡り繰り広げられた戦いの中で、多くの人間が命を落としているに違いない。
中には、魔物に対して恨みを抱く人が居ても不思議ではない。
そして、それは逆も言える。
今は違うとはいえ、ソフィアは魔物の長だった者だ。
自分の配下を殺してきた人間に対し、恨みを持っている可能性もある。
まぁもっとも――。
「ソフィアとマリィを連れてくる手段がないんだけどね」
「どうしてだ? クーの空間転移を使えば、一瞬だ!」
と、ひょこりと首を傾げているシャーリィ。
空はそんな彼女へと言うのだった。
「いや、あれはほら使うのに条件が色々とあるから」




